自己破産とは

自己破産という言葉は本やテレビでよく耳にしますが、実際にどういう内容でどういう手続きが取られているのかご存知ですか? この世には「借金」という言葉とは無縁の方もいらっしゃいますが、消費者金融のCM等が大量に流れている事から分かるように、借金をしている人は意外と多いもの。しかも、それが何十年働いても返せないような膨大な額になっている、という状況もそれほど珍しい事ではありません。そういった場合の、最後の切り札が自己破産なのです。

自己破産とは、累積してしまった債務を一度白紙に戻し、その人に新しい人生をやり直してもらおうという趣旨の法律です。「借りたものは返す」「約束した事は守る」がこの世の大原則ではありますが、だからといってむやみと人生を台無しにする必要はありません。与えられたチャンスを有効活用して、今後の生活を立て直していけばいいのです。

しかし、自己破産をする際には注意点がいくつかあります。『自己破産したのに借金が帳消しにならなかった!』『保証人になってもらってる人のところに取り立て屋が!』なんて事にならないように、自分の状態が自己破産に見合っているかどうかも検討に入れて考える必要があります。破産法で定められた免責不許可事由に該当すれば原則、借金はチャラになりませんし、保証人がついていれば、自分が免責されてもそちらへ債務が移転するだけと考えてください。また自己破産後はおよそ財産と名のつくものは全て差し押さえ対象になりますので、持ち家なども処分されてしまいます(ローンが残っている場合はローンを払い続けないといけません) 財産を残したままで債権整理を目指すのなら、自己破産よりも個人再生といった方法が適しています。

破産にかかる費用は?

破産は法的な手続きですので、どうしても最低限必要になる費用が出てきます。しかし破産するほどの経済状況の中で払える金額というのは自然、シビアにならざるをえません。一体破産にはどれぐらいの費用がかかるのでしょうか。同時廃止事件と管財事件で費用も異なるのですが、個人破産は殆どが同時廃止となりますので、同時廃止事件の事例での費用を考えてみます。

全て一人でやってしまう場合……書類作成から何から何まで自分で手続きを行うなら、費用はかなり小額で済みます。目安としては2~3万を考えてください。これは裁判所に収める予納金や申立手数料となりますので、これ以上減額する事は不可能です。

弁護士・司法書士に依頼する場合……こちらはぐんと費用が跳ね上がります。弁護士に頼むのであれば、一般的に40万~80万ほどの上乗せを覚悟しましょう。しかも、これは純粋に弁護士への着手金と成功報酬ですので、相談料金は別となります。司法書士に依頼するならもう少し費用を抑えられますが、それでも15万ぐらいからが目安です。この料金は弁護士協会等で決められたラインが元になっているので、穴場の低料金でやってくれる事務所を探すのは難しいと考えたほうがいいでしょう。インターネット等では時々割引を実施していたりしますし、事務所によっては分割支払いも受け付けてくれるところがありますので、こまめにチェックしてみる事をオススメします。

破産の詳しい手続き

破産の具体的手続きとしては、まず管轄裁判所に行って破産申立て申請を行います。この時に必要書類(自己破産申立書類など)のチェックが行われ、それにパスすれば、地方裁判所で破産についての審尋→破産手続の開始→免責の許可・不許可を決定、という流れとなります。申立て申請において重要なのはなんといっても必要書類の作成。間違っていると容赦なくつき返されます。ここらへんの作業や手続きが煩雑なら弁護士や司法書士に頼むのも良いのですが、その分費用はかなり嵩んでしまいます。

申請が受理されさえすれば後は自動的に進んでいきます。受理の後、二週間から一ヶ月後を目安に地方裁判所での破産審尋が行われ、これには債務者本人が行かなければいけません。この審尋は支払い不能状態にあるかどうかを審査されるものですので、本当に破産しなくてはいけないような経済状況であるならば、何の問題もなく通過できます。

審尋が終わると、破産手続き開始の決定が下され、破産手続きが開始します。破産手続きでは、債務者に処分できる財産があるかどうかで管財人事件と同時廃止事件とに振り分けられますが、個人の破産はほとんどが同時廃止事件に該当するでしょう。この後に、債務が消滅するかどうかの鍵となる免責手続きが行われます。免責されれば全ての債務が消失しますが、免責されなければ債務は以前残ったまま、という事になります。個人の債務であれば、ギャンブルに全てつぎ込んだ、などの免責不許可事由に該当しない限り、大抵免責されています。

破産の宣告って?

破産の宣告とは破産原因が認められて、破産手続きを開始した事を意味します。宣告を受けると管轄裁判所が債権者等に向けて、破産者に対する取立ての停止を命じます。ここで破産者に財産があれば管財事件となり、なければ同時廃止事件となります。(自己破産は八割から九割が同時廃止扱い)

よく破産宣告を受けると、新聞に名前が載ってしまうのではないか、選挙権がなくなるのではないか、という誤解があるようですが、そんな事にはなりません。破産者となった場合のデメリットは『ある一定の職業につけなくなる(弁護士、会計士、司法書士等)』 『遺言執行者になれない、株主総会取締役などは辞任しなければならない』『官報に氏名・住所が記載される』、この三つとなります。官報は一般にはあまり読む機会のないものですが、ヤミ金融などではこれを元にDMを送りつけてくるので、引っ掛からないように注意する事が大事です。

また破産の宣告を受けても、それだけで債務が消滅したわけではありません。宣告の後に免責の許可・不許可の決定が下されますので、それにパスして初めて債務が白紙の状態に戻るのです。ここでは破産法に定められた免責不許可事由に破産者が該当するかどうかがチェックされます。個人の破産で取り上げられやすいのは『浪費やギャンブルによって、著しく財産を減少させたり、過大な借金を負担した場合』の項目です。免責不許可事由に該当すると、原則免責許可は下りないのですが、破産者の人柄等を裁判所が考慮した上で、裁量的に免責の決定がなされる場合も多々あります。自分の債務が免責不許可事由に該当している場合は、一度弁護士等に相談してみましょう。

破産に弁護士つけるべき?

弁護士は一般的に高額の料金を支払わなければいけませんし、依頼する弁護士が良い人間かどうかを見極めるのも難しいところです。そして、近くに法律相談所があるなら少しは気軽に足を運べますが、弁護士事務所は得てして都心部に集中しています。いざ相談するとなると距離的にも金銭的にも躊躇してしまいがちですが、破産の場合、弁護士はつけたほうがいいものなのでしょうか。

一概には言えませんが、破産は刑事訴訟でもなければ複雑困難な民事訴訟でもありません。必要書類の作成にさえ気をつければ一人でも十分処理できます。気分的には弁護士についてもらったほうが安心感もありますし、何より煩わしい作業から解放されますが、それに対しての費用が見合っているかどうかは人それぞれ、思うところは違うでしょう。安いと思えば頼めばいいし、高いと思うのなら一度自分でやってみればいいと思います。

破産に関して弁護士をつけるメリットは、『弁護士に依頼した時点で債務の弁済をする必要がなくなる・取立てが来なくなる』という事と『東京地方裁判所に限り即日面接を行使できる』という事にあります。本来は破産の申立てをした時に自分で債権者へ通知し、弁済をストップする必要があるのですが、弁護士に依頼すると破産に向けての債務管理を一任した事になりますので、この時点で特定の債権者に弁済したりはできなくなります。ややこしい連絡も全て弁護士に任せておけばいいので何の心配もありません。また貸金業法で、弁護士・司法書士が立会いに入った債権についての取立ては規制されていますので、返済の催促も止まるはずです。

即日面接というのは、弁護士が代理人になっていて、かつ東京地方裁判所で破産の審尋が行われる場合のみ、そのまま同時廃止の決定までを行える制度です。要するに弁護士に依頼して、住居が東京の場合のみのメリットとなりますが、これを行使すると自分で破産処理を行うよりも二ヶ月ほど早く破産手続きを終了させられます。